岡部憲治 の 戯言記

二極化する 内向きと外向き   -キャリア決定力と実行力-

2010/08/15

カテゴリー: 文化ギャップ・国際


”内向き” な空気に包まれている日本 で触れたように、色々な場面で「内向き」な空気に包まれているのは肌で感じるとおり。

だが、その一方で違う動きもあるようだ。

 

朝日求人ウェブの 新入社員半数「海外で働きたくない」一方、積極派も増加 という記事によれば、

今春の新入社員のおよそ2人に1人が「海外で働きたいとは思わない」と考えていることが、産業能率大の調査で分かった。過去の調査よりも大幅に増え、内向きな意識の高まりを示した。一方で「どんな国・地域でも働きたい」も27%と過去最高。海外勤務についての考え方の二極化が鮮明になった。
(中略) 「海外で働きたいと思うか」という質問に、49.0%が「働きたいとは思わない」と答えた。「国・地域によっては働きたい」は24.0%、「どんな国・地域でも働きたい」が27.0%だった。(中略)

産能大の担当者は「もはやグローバル化が避けられないことは誰もが分かっている。それを不安に感じて国内にとどまろうとする層と、積極的に打って出て機会をつかもうとする層にはっきり分かれてきた」と分析する。

 

とのこと。どうやら、経済格差(ギャップ)だけでなく、キャリアにもギャップが生じてきているのかもしれない。

 

◇ただ、調査対象が「新入社員」なので、基本的には「大卒」ではないかと。

つまり、「小→中→高→大(院)→社会人」というキャリアパスに、「内向き」が圧倒的に増えていると解釈できる。

 

◇その一方、違ったところでは、「外向き」を目指す層も増えている。

たとえば、NY Times の Japanese Sushi Students Aim for a Job Overseas という記事によれば、

様々な経歴をもつ人々がすし職人養成学校に通い、海外で働く夢を実現しようとしているようだ。

The academy enrolls about 100 students each year in either intensive, two-month programs or yearlong diploma courses. More than 700 students have graduated from the academy since it opened in 2002, its executives say. Of the 10 people in Mr. Aoki’s yearlong program, 9 said they were preparing for careers abroad.

 

上記引用は、

2ヶ月プログラムあるいは1年プログラムに年間100人の生徒が参加し、2002年以来、すでに700人以上の卒業生がいるとのこと。また、1年プログラムに参加した生徒の10人のうち9人は海外への道を考えていたとのこと。

というようなことが書かれている。

また、記事中には、

By contrast, the sushi restaurant market overseas is a rich source of entrepreneurial opportunity for young Japanese, said Hiromi Sugiyama, a director of the academy, which also hosts a Web site, www.sushijob.com, for chefs seeking jobs in other countries.

 

とあり、要は若い日本人が起業するチャンスが海外のすしレストランマーケットにはあるとのこと。

 

◇日本の行く末どうこうよりも、自分が生きる場所を求め、チャンスを求め、アグレッシブにつかみにいく。

そんな海外でがんばっていく人々が増えていけば、結果的に、「活力」としてすざまじいパワーを日本にもたらすのではないだろうか。

 

 

◇とはいえ、外部環境を重視し守りで「内向き」になるのも戦術の一つだし、「外向き」が一方的にいいわけではない。

要はまわりがどうこうでなく、「自分で決めたか」がポイントであり、それを決定するための「ポジショニング」の視点をもっているか。

 

これからのキャリアパスにはますます自分の意思決定の手段と実行力が重要となってくるではないのだろうか。

慣習ギャップが招く文化の溝  背景を捉えたうえでのコミュニケーションの必要性

2010/07/22

カテゴリー: 文化ギャップ・国際


千葉県八千代市の私立秀明八千代中学・高校で、英語担当の教師が、授業中に生徒が解答ミスを重ねると、人が首をつっている姿を連想させる絵を黒板に描いていたことが、複数の生徒や卒業生の証言で分かった。同校では08年に校内で生徒が首つり自殺しているが、その後も続いていたという。亡くなった生徒の両親は「こうした指導は問題だ」と憤っている。 複数の生徒や卒業生の証言によると、英語を受け持つ外国人教師は、生徒が質問に答えられなかったり、間違った解答をした際、黒板に線や円を1本ずつ描き、ミスが続くと首つりを連想させる絵を完成させる行為を少なくとも07年から続けていた。(以下略)(毎日jpより)。

 

この記事のタイトルと実際の画像が目に入った時、担当は外国人講師ではと瞬間思った。
実は、このミスをすると一つずつ線が足されていくシニカルなゲームは「The hangman」といって米国ではポピュラー。
ウィキペディアでも普通に紹介されているしこちら、 米国yahooで「The hangman」と検索すればすぐに出てくる。
スペリングゲームも数限りなくある。

 

私も留学時には単語の勉強などでいくどとなく経験しており、最初はちょっととまどった。が、それも米国では文化の一つなのだと文化ギャップを肌で感じた。

今回のケースは、そんな背景を理解・把握した上でそれでもなお日本の文化(風土)ではよろしくないということがコミュニケーションされていたかが焦点なのだろう。

 

実際、外国人講師を単に「英語能力」のためだけのツールのように扱っていたら、今後もこのようなことは起こりうるのではないだろうか。だからといって、あれもだめこれもだめと規制・排除していくだけでは、外国人講師からすれば「やってられない」。

 

単に英語が話せるでは済まされない、本当の意味での話し合い、「コミュニケーション」が必要となってくるのだ。

 

なにも、学校だけではない。企業でも社会でも国際化が進めば、お互いの背景を理解したうえでゴール設定をしなくてはならない。それにはお互いの背景を見える化しながらコミュニケーションをとるしかないのだ。

 

そういう意味では、以前、上海に来春開校 日本人学校初の高校 という記事でも触れたが、すでにある程度の外国の背景知識を経験でもっている帰国子女の存在はとても貴重なのだろう。

そんなギャップを軽やかに埋めることができるかもしれないのだから。

 

 

 

参照元:毎日JP 千葉私立中高:解答ミスで「首つり」の絵 生徒自殺後も

脳を鍛える + 脳波を鍛える = 脳力

2010/01/19

カテゴリー: カリキュラム・テスト


◇今日のニュース 脳は運動で活性化:実験で確認 にもあるように、”運動が脳を活性化させる”のはなんとなく想像の範疇だろう。だが、活性化させてもそれが生かせなければ意味がない。

 

◇例えば、競技やテストやプレゼンなど自分が何かのイベントに参加するときに、平常をもって臨み、全力を出し切ることができるのか。どんなに脳が活性し、記憶や学習が効率的になってもアウトプットするときに平常でなくてはもったいない。

 

◇ではどうすれば、平常でいられるか。 「集中、集中」と言う人もいるだろうし、「リラックス、リラックス」という人もいるだろう。 いったい、どっちが正しいというか有効なのだろう? そもそも、「精神状態」は経験則で鍛えるしかないのだろうか。

 

◇1月18日(月)にNHKのクローズアップ現代で放送されていた脳波が暮らしを変えるはなかなか興味深いものであった。番組内では脳波を利用したおもちゃから、マーケティング、さらにはスポーツ選手のトレーニングまで紹介していた。

 

◇例えば、脳波センサーをつけてボールを操るオモチャ。いうなれば、集中力がボール操作のカギ。また、脳波センサーをつけてPC画面内の物体を浮かせてみるゲーム。まるで、超能力のようだ。

 

◇なかでも、驚いたのは、トップレベルのアーチェリー選手の練習に、脳波センサーをつけて、「リラックス」「集中力」を数値で計測している話。トップのなかのトップ選手は「リラックス」と「集中力」に相関関係があり、矢を放つその瞬間に向けて、数値が上がっていくのだ。

 

◇そうでない選手も、毎回の練習時に「リラックス」「集中力」を計測することにより、調子が悪いときと良いときの差を数値で把握することができ、良い時のイメージを段階的につかんでいくことができているよう。

 

◇つまりは、「精神状態」のトレーニングを数値で明瞭化し、体で覚える”記憶と学習”に効果的にリンクさせていることになるのだろう。

 

◇機器の発達や脳の働きの解明によって、今、そこにある慣習的な記憶と学習へのアプローチがどんどんと変化していく。それをどんどんと自分から取り入れていくことが必要な時代になってきたのではないだろうか。

待っていても誰も解決してはくれないのだから。

 

※今日(19日夜)のWBSのトレタマでも、脳波センサーで集中度とリラックス度を数値計測できるシステムが紹介されてましたね(2万5000円くらい。アメリカ製)。おもちゃっぽいですけど。

 

参照:NHK クローズアップ現代 脳波が暮らしを変える(2010年1月18日放送)

形成的評価(formative assessment)が、進んでいく。

2009/07/21

カテゴリー: カリキュラム・テスト


◇アメリカではSATやGREなど大学、大学院に入学するためのテストがある。

「いわば、日本のセンター試験のようなもの」と言われているが、例えば、SATは

SAT Reasoning Tests と SAT Subject Testsに分かれている。

 

○SAT Reasoning Tests は以下の3つ

・Critical Reading
・Mathematics
・Writing

※詳細は SAT のQuestion Types のところに。

 

○SAT Subject Tests は、以下の5つ

・English

・History

・Mathematics

・Science

・Languages

※詳細は About the SAT Subject Tests に。

 

※テストの練習問題はネット上にいっぱいあるので、とりあえず、Yahoo Education のTest PrepのSATを覗いてみるのはいかが。 ⇒ こちら

 

◇教科内の枠組みからだけでなく、多面的な評価が測られるわけだが、基本、multiple choice(選択肢)問題なので、限界もある。また、どんなに点数が高くともそこから「コミュニケーションスキル」や「人間性」などが見えるわけではない。

 

◇実は、PPI(Personal Potential Index)という評価システムが段々と使われはじめているようだ。現在は大学院希望者対象でオプションとなっているが、数年内には大学入学の学生が視野に入る可能性が高い。なにせ、ETSが携わっているのだから。

 

◇Personal Potential Index 。直訳すれば、「個人の潜在能力インデックス」は、6つの評価項目で構成されている。

○Knowledge and Creativity (知識と創造):Is intensely curious about the field

○Communication Skills(コミュニケーションスキル):Speaks in a clear, organized and logical manner

○Teamwork(チームワーク):Supports the efforts of others

○Resilience(回復力・弾力性):Accepts feedback without getting defensive

○Planning and Organization(計画性と組織力):Sets realistic goals

○Ethics and integrity(道徳性と誠実さ):Is worthy of trust from others

 

◇申請者(GREを受けてPPIを希望した大学院入学希望者)が評価する人を5人まで選び(たいていは教授やスーパーバイザー)、6つについて評価してもらい、それをETSがスコア化するようになっている。

実際のサンプル画面は↓

clip_image002

(ETSより)

 

◇総括的評価(Summative assessment)ではあるものの、あくまで評価するのは個々その人(申請者)に関係し、その人を見てきた人。SATやGREで見えない部分を補うには十分効果があるだろうし、限りなく形成的評価(Foamative assessment)に近いのではないだろうか。 今後の成り行きを見守りたい。

それでも世界はまわってる  -都市が語る変容-

2009/06/23

カテゴリー: 未分類


◆少し前の話だが、NHKスペシャルの「沸騰都市シリーズ」が完結した。

ドバイから始まり、ロンドン、ダッカ、イスタンブール、ヨハネスブルグ、サンパウロ、シンガポール、そして東京。

国を代表するような都市がみせる変貌は、その国の将来をも彷彿とさせる。

 

◆その原動力となる「人」、すなわち個人の競争は熾烈になり、格差はなおさら開いていくのは必然。ただし、それは島国日本がかかえる内向きな軋轢ではなく、かつての黒船襲来が如く外圧的状況が引き起こすもの。

 

◆例えば、金融危機。

日本は比較的、傷が浅いといわれていたにもかかわらず、時が経つにつれ、

間接的影響(輸出産業への高依存体質)が

輸出激減→様々な経済指数の下降→消費意欲の落込み→内需の冷え込み

と負の連鎖を巻き起こしていった。

 

◆それが派遣社員や正社員をリストラに追い込み、安価な労働力としての外国人採用を促す。

その一方で、例えば、「今が買い」とシンガポール政府設立の不動産投資会社が1000億円の資金を東京の土地買収に動き出す。

資金を使い切って、多数の物件を購入すれば、外資がらみ(外国人)のテナント物件になる可能性も大きい。

つまり、
単純労働、中間管理、知識、あらゆる層に「外国人」が多く流入してくる

のだ。

 

◆シンガポールだったら完全な個人能力主義。日本だったら集合的能力主義。

今後も徹底的に国を超えたグローバリズムが展開し、「個人能力主義」でいくか、「集合的能力主義」でいくかが、リアルに個々に迫られてくるだろう。

 

◆それでも都市はまわっている。

そこで生活する私たちもいやおうなく、変容を突きつけられることは間違いない。

 

NHKスペシャル 沸騰都市