本間勇人 の Goodware Times

‘政策’ カテゴリーのアーカイブ

ポスドク問題の背景

2009/09/10

カテゴリー: 政策


◇朝日新聞(090907)「博士課程の定員削減 必要?」の記事は、ポスドク問題の背景を浮き彫りにしている。20世紀末の科学技術立国再興のための大学院重点化や博士課程の定員増の政策などのツケが回ってきている。

 

◇これは小中高の「ゆとり教育」の問題と同じ構造。というのも、生活科や総合学習の時間は、能力ではなく、才能を見出すことが本来的な意味合いだったはずが、能力と才能の差異を明確化できないまま、結局能力主義に回帰し、「脱ゆとり」になった。

 

◇ポスドクも能力ではなく創造的で発想力のある、それでいて編集企画のリーダーシップを発揮できる才能を重視していたはずなのに、やはり目先の結果に惑わされ、能力主義に回帰。

 

◇能力主義とはメリトクラシーであり、能力の順位をつけるのが常套手段。よって、人数が多くなれば、能力の質が低下したみたいな話になる。

 

◇もっとも、このような差異を意識して論じている人は、公共的には少ない。国のカネを使うから、どうしても経済政策と表裏一体のトーンにならざるを得ない。

 

◇すると、能力の質の高低と能力の発揮できる仕事の場所の多寡が論点となる。しかし、これは二律背反で、決着がつかない議論。

 

◇背景である能力主義でいくのか才能主義でいくのかという大前提の選択が決まらない限り、決着がつかない議論である。

 

◇能力主義は一元ランキングの世界。才能主義は多元ランキングの世界。前者は、優秀な専門家でなければ世の中を動かせないと思っている。後者は、すべての人にその人に合った才能があり、その才能を生かせば世の中はハッピーになるという信念がある。

 

◇この後者の発想こそ、欧米で注目されているクリエイティブシティ、クリエイティブ資本主義、クリエイティブクラスの新たな産業構造の動きである。

 

◇ノマドワーキングが増えたり、脱化石燃料産業が勃興したり、新たな平和構築の動きが生まれたり、世界同時政権交代劇が起きたりしているのは、その流れだ。

 

◇しかし、日本の官僚の動きは遅れている。能力の問題ではない。能力はピカイチだ。才能の問題である。

 

◇ということは官僚内部が能力と才能の有効なバランスを取り始めたらどうなるだろう。日本国家は最高デス!になるかも。

 

P.S.単純化は出来ないが、公立中高―東大=加藤弘之タイプ(Kタイプ)。私立中高―東大=南原繁タイプ(Nタイプ)。文科省にもNタイプは進出している。能力(Ability)主義と才能(Talent)主義のバランスはあり得ると思う・・・。

Obama Dynamic Equilibrium 自転車操業的改革

2009/04/15

カテゴリー: 政策


◇日本の政治経済のニュースについて、テレビの報道を見るも、新聞の記事を見るもそこにあまり違いを感じません。勧善懲悪的な二元論で、両者のバランスが論じられていないので、抑えてはいるものの一喜一憂の情動的な表現になりがちです。

 

◇ところが、岡部氏が追っているオバマ大統領の政策ニュースは、テレビと新聞では差異があります。日本のテレビの方は、編集手法が同じですから、勧善懲悪的手法ですが、新聞の方は、アメリカの記事をもとに書いている場合が多いので、複眼思考でかかれているんですね。

 

◇たとえば、オバマ政権は、キューバ政策の方針を大転換しました。キューバ国民への支援を絶ち、カストロ政権に打撃を与えるという米歴代政権の基本政策変更の決断をしたわけです。日本のテレビはそこですばらしいとなる傾向が強いのですが、アメリカの記事をもとに書かれている新聞記事は、キューバがなおカストロ政権の独裁体制下にあるとして、貿易規制などの主な制裁は堅持する方針であることをきっちり論じるわけです。

 

◇国民1人ひとりの支援は基本的人権の下で実行するけど、独裁体制の政権に対しは厳しいよというオバマ政権のDynamic Equlibrium(動的平衡)戦略を記事にしています。

 

◇この言葉は、福岡伸一先生が最近出版した著書名です。生命の戦略は、エントロピー増大の法則に先回りして、自らを壊し、そして再構築するという自転車操業的な手法、つまり「動的平衡」の構えです。

 

◇オバマ大統領の戦略はまさに、このアメリカ経済のエントロピー増大に先回りして、自転車操業的に改革し続ける「動的平衡」戦略ですね。いやオバマ大統領だけではなく、アメリカの文化の1つの側面なのでしょう。

 

◇今朝のニュースで、ゴールドマンの第1・四半期決算は、市場予想を上回る純利益を計上し、金融危機回避の兆しが見えた。モルガンやシティの決算発表も楽しみだ。減収でも黒字であれば、明るいですよねと報道されてしまうんですね。

 

◇ところが、ゴールドマンの当面の課題は、受け入れた多額の公的資金をさっさと返済したいと当局ともみあっていることです。支援を受けると、規制や監視が厳しくなってたまったもんではないというのです。実績があがっても、支援を受けている間は、給料も大幅に上げられないわけですから。ここでもDynamic Equilibrium戦略が稼働しています。

 

◇アメリカには、自由は自転車操業的改革によって持続可能という文化遺伝子があるということでしょうか^^)♪