◇私立中高一貫校の市場の競争を、座標系の図のように4つのタイプに分けて、分析してきた。横軸の偏差値という量による競争だけではなく、クオリティという質による競争を表現しようとしてきた。これによって、偏差値や大学進学実績以外の指標によって受験生が学校選択できるようになった。

◇今日メディアが中学受験を取り上げるとき、まだまだ偏差値や大学進学実績が中心となるが、偏差値が低くても教育力がある学校を選ぶことが大事だとか、その姿勢を成熟した選択の仕方とか呼ぶようになってきた。これは、新しい学校選択指標を受験市場も欲求していることの証である。しかし、指標として質分析にはまだいたっていない。そういう意味では私の独断と偏見の学校選択指標(→下記ブログ参照)は、参考にされる機会が多い。
≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08男子]
≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08女子]
≪学校選択指標≫クオリティスコア×偏差値×大学実績[08共学]
(09年度版は9月くらいまでには分析が終わる予定。秋以降に公開したい。部分的にはわかったところから公開したい。結構変化があるだろう。)
◇ただし、この座標系の図では、ポジショニング理論と重なってしまい、誤解も多い。これでは受験市場と私学市場、あるいは教育産業市場との違いが明確にならない。本来はディカップリングなのに、カップリングしていると勘違いされる。そのため、受験市場がそのまま私学市場と同じだという幻想を生みだしてしまう。それゆえ、偏差値と大学進学実績だけで私学を語ってしまいがちになる。
◇学校を座標系の点でとらえるのではなく。下記の図のようにドメイン(という関数)で考えると、受験市場、つまり塾予備校は、伝統という私学の歴史的建学の精神なき偏差値エリート養成にだけかかわっているということがわかる。エリートといっても、私学市場のエリートと受験市場のエリートとは違うのである。

◇さて、ここでやっと本題にはいるのだが、塾予備校・テスト会機能も有している学研やベネッセコーポレーションのような教育産業は、ビジネスモデルのドメインを4座標全体に展開する試みを開始している。教育産業は、受験という限定された教育ではなく、文化としての教育をサポートしてきたから、理念や歴史を教育の中で無視してこなかった。しかし、日本国内の教育は学習指導要領に拘束されているから、リベラルアーツ的なクオリティに関しては無頓着だった。
◇それが89年のベルリンの壁が崩壊し、さらに今回の世界同時不況という金融資本主義の危機に直面し、学習指導要領だけにこだわっていては日本そのものが危ない。教育のイノベーションを起こさなければという流れが少しずつ生まれている。つまり、私学市場とそれを支援する教育産業市場の本当の意味でのカップリングが生まれようとしているのではないか。この仮説を証明するために、最近では、ベネッセコーポレーションをリサーチしている。これからの教育産業の新たなビジネスモデルをウォッチしていくことは、日本の教育イノベーションのために極めて重要だ。
☆ベネッセコーポレーションの戦略については、次のブログを参照されたし。

