◇拙著「名門中学の作り方」で、草創期からどのように成長していくのかを考えるモデル校として白梅学園清修を紹介している。2006年に中高一貫部が立ちあがり、今年で4期生までそろった。学校の成長を草創期からリサーチさせていただき、引き続き今後どのタイミングで成熟期に飛躍するのかについて学びの機会をいただいている。

◇清修は、新しい学校をデザインする際に、世界の変化とシンクロしている日本の文化や経済に目配りしていた。文科省の動きは必ずしも文化や経済の変化に大胆に対応していないので、清修のベクトルは新鮮だし、変わる教育のベクトルのヒントを実践しているといえる。
◇それがゆえに、多くの学校が見学しに訪れるし、立ち上げ準備室室長だった柴田副校長も教育学会やOECD/PISA関連のセミナーなどで講演やパネラーとしても活躍している。
◇しかし、今年の春4年目の生徒募集で、多少右肩下がりになった。これはキャズムという溝で、草創期から成熟期に向かう時に訪れる外生的成長危機である。新規事業が成功して安定するまでの紆余曲折というやつだ。
◇草創期の段階では、立ち上げ当初戦略的マーケティングを行い、内生的成長のモチベーションを高める。しかし、今日の激動の時代にあっては、外生的な戦略マーケティングの変化の速度も激しく、外的な変化に目配りしておかねばならない。
◇ところが、立ち上げるには相当なエネルギーが必要で、内部に目がいきがち。良質にこだわれば、生徒獲得は当初の戦略で満足してしまうケースが意外と多い。だから外部リソースを無視し、多少の右肩下がりも、大丈夫、騒ぐ必要はない冷静に対応しようと、結果的に何もやらない。それで失速してしまうということになる。
◇さて、白梅学園清修は、どう判断しただろう。言うまでもなく、今春の結果をキャズムととらえ、マーケティング戦略をがらりと変えた。そしてその転換のためのエネルギーをさらなる内生的成長に変換することも忘れない。こういう言葉は使ってはいないが、外から見ていると、そのマーケティング戦略は、個性構築からレジェンド構築へとコンセプトがシフトしている。レジェンドマーケティングと呼ぶことにする。

