鈴木裕之の発言

2009 年 5 月 のアーカイブ

進学情報はサバイバルスピリットから

2009/05/18

カテゴリー: 入試, 学習プログラム


◇アメリカ発の金融危機以来、大学進学も内向き志向になる気配があります。メディアもすっかり「嫌米ムード」です。しかし、グローバル経済でつながっている時代ですから、国内にとどまっていれば安心ということはありません。新型インフルエンザだって、あっという間に世界を駆け巡る世の中です。こういう時こそ外に目を向けることが必要かもしれません。
 

◇そういうわけで、今回は、アメリカのリベラルアーツカレッジに進学したある女子生徒の話をします。
 

◇彼女は、某私立中高一貫校に通う生徒でした。帰国生というわけではなく、高校1年生のときにアメリカに短期留学した経験を持つごく普通の国内生です。しかし、その短期留学でアメリカの魅力にとりつかれた彼女は、海外大学進学への希望を膨らませて母親にその話をします。母親は彼女の夢を受け入れ、応援するのですが、姉妹の教育費を捻出する必要がある現実を伝え、「全額奨学金を取れるならば」という条件を出しました。

 
◇そこから彼女の猛烈な勉強が始まります。アメリカには奨学金を出す大学は多数ありますが、学部レベルの留学生に全額支給というのはさすがに稀です。しかし、ある団体の全額支給の奨学金制度があることを知った彼女は、国内の大学受験を目指す以上のひたむきさで勉強し、合格者が毎年わずか3~5人程度とされるその奨学生に選ばれたのです。

 
◇渡米した後の努力も本当に凄いものでした。小さい体のどこからそういうエネルギーが出てくるのか不思議なくらいバイタリティに満ち溢れているのです(毎日の睡眠時間は平均で4時間程度と言っていました)。そのリベラルアーツカレッジで学んだ後に、医学の道を志すことを決意し、米国でのインターンシップやインドの山奥での医療ボランティア活動を経て、現在は日本の国立大学医学部へ学士編入を目指しているとのことです。

 
◇国内の大学受験情報というと、医学部の定員が増えたとか、国立大の後期日程がなくなったとかいう話ばかりで、何か肝心な情報が欠けているような気がします。これからの社会トレンドがどうなるかとか、どういう業界に就職すれば安心かとかではなく、突き動かされるように自分の道を切り開く情熱や、サバイバルスピリットこそが大切なのでしょう。

小学校への英語教育導入について

2009/05/07

カテゴリー: 学校


◇小学校への英語導入について是か非かという議論は、各所でなされてきましたが、個人的には導入の是非を論じてもあまり意味がないのではないかと思っています。むしろ、どのように運用したらうまくいったかという事例を積み上げていくことが大切でしょう。


◇運用の効果といっても、中学・高校・大学・社会人と、どの段階での効果を検証するのかで結果は異なってくるという議論もあるかもしれません。また、先々の効果よりも「今」学んでいる生徒の満足度や目の輝きこそ大切だという議論もあるでしょう。


◇ここでは、私の知っている例をご紹介します。


Nくんは2年前に帰国枠受験で某私立大学に入学した学生です。地方の公立中学でごく普通に英語を学んできて、中学3年生でお父様の転勤により、海外の国際校に編入することになりました。公立中学時代は真面目な生徒で、英語以外の科目については、ほぼクラスのトップレベル、特に国語の成績は、学年でもトップの成績でした。


◇ところが、英語はもともとあまり得意でなかった上、国際校に編入して、決定的にわからなくなってしまったということです。国際校ではEFL(英語を母語としない生徒のためのクラス)があり、外国人の友達もできたので、会話はそれなりにできるようになったものの、文法はほとんどわからずじまい。そのためライティングにも文法の間違いがあちこちにあるという状態です。しかし、帰国生であるというプライドが邪魔してか、今さら文法を一から勉強する気にもなれず、なんとなくそのままになっているというのです。


◇海外でシャワーを浴びるように英語に触れていると思われ、「海外に住んでいるのだから英語ができるだろう」と思われている帰国生は、多かれ少なかれこういうプレッシャーを常に抱えています。文法中心の英語学習が悪者のように思われる風潮があるのですが、コミュニケーション英語が万能であるわけではありません。


◇小学生に英語教育を導入する際、これまでの文法中心の英語教育の反動として、コミュニケーション重視があまりに強くならないよう、これはこれで留意するべきだと思います。特に小学校5年生や6年生になれば、単にあいさつ表現を知るよりは、文法的に「腑に落ちる」感覚を望む生徒だっているはずですから。


◇結局は、子どもの状況に応じた教え方ができるかどうか、そういう学習環境が準備できるかどうかという問題になっていくのでしょうね。