◇かえつ有明サイエンス科の取材を通して、私立学校の教育環境がもつ可能性というものを何度も感じさせられてきました。例えばクリティカルシンキング(CT)に対する考え方もその一つです。前回書いたように、クリティカルシンキングは、いわゆる「考え方のフォーム」を通して獲得していく「スキル」であるばかりではなく、相手が異なる存在であることを前提としたリスペクトを養成することでもあるといったことは、かえつの先生方との対話を通して、気づかされたことです。
◇CTがロジカルシンキングに役立つという文脈は、これまでもビジネス書などで紹介されているのですが、かえつの先生方は、そういったスキル(知育)だけではなく、思春期の子どもたちが葛藤を乗り越えて成長していくための推進エンジンになり得るという文脈でCTをとらえているのです。
◇クリティカルに思考する対象は他人だけでなく、当然自分自身にも向かいます。そのプロセスから、やがて相手に対するリスペクトが生じるわけです。そうでないとCTは、単なる無責任な他者批判に終わってしまいます。
◇これからのグローバル化が進む社会では、異文化理解能力がますます必要になります。トリニティ教育研究所の本間氏がブログで立命館アジア太平洋大学のキャンパス訪問記を書いていますが、これを読むと国際学生と学び合う環境が日本にも少しずつ広がってきていることが伝わってきます。異なる他者への理解力とコミュニケーション能力がますます必要になってくるでしょう。
◇石川教頭先生が教職員会議で話したという年頭挨拶には、かえつ有明が2050年の社会を見据えて教育をしていく決意が表明されています。
◇「変動する世の中にどうしたら各人が積極的に貢献することが出来るかをしっかりと考えさせる。これこそがかえつ有明のキャリアデザイン」だと話をされるとき、かえつ有明の校訓である「怒るな働け」は、サイエンス科のCTが依拠する判断の基準として奥深いところでつながっていくのかもしれません。

